こんにちはFP消防士です。
近年、高気密で高断熱な住宅が普及し、夏や冬の外気温に影響されにくく、室内温度が一定で快適に過ごせるというコンセプトの住宅が増加しています。
この、高気密で高断熱の住宅から火災が発生した場合の影響はどのようなものがあるのか解説していきます。
この記事は
高気密で高断熱の家が火災発生時にもたらす影響はどのようなものか?
高気密で高断熱の家が火災の場合に注意することは?
このような事が知りたい人向けの内容となっています。
結論
高気密で高断熱の住宅から火災が発生した場合の影響について解説していきます。
近年の住宅は、従来の木造住宅ではなく快適に生活ができるよう住宅にソーラーパネルの設置、蓄電池設備の設置など、年々普及が加速しており、住宅も年を重ねるごとに進化しています。
住宅の進化に伴い、消防活動もそれに合わせて進化していかなければなりません。
今まで通りの放水活動では有効な消火と言えない。
特に水損に気を付ける必要性がある。
なぜ、今まで通りではいけないのか、また水損を気を付ける必要性が高まったのか解説していきます。
高気密で高断熱な住宅
近年、快適な生活や災害に強い家がコンセプトの住宅が増加しています。
つまり、高気密で高断熱な住宅が増加しており、従来の木造住宅より性能は向上しています。
機密性が高く断熱性が高い住宅が火災になった場合は、出火した室内が高温になりドアや窓の開放によりFO(フラッシュオーバー)やBD(バックドラフト)の発生のリスクも高まります。
従来の木造住宅の特徴として燃焼速度が速く、屋根の抜け落ち、延焼拡大するリスクが高い特徴があります。
それに比べて近年、建築された住宅は高気密で高断熱なため燃焼速度が緩慢であるがFO(フラッシュオーバー)やBD(バックドラフト)の発生のリスクも高い、屋根や壁などが崩落せず形状が保たれていることが多い、屋外からだけの放水では消火が困難な特徴があります。
火点を直接攻撃するのが1番効率の良い消火方法です。
包囲戦術が必要な火災なのかどうか、火点を直接攻撃した方が良いのか判断しなければなりません。
このような火災を対応するにあたり、個人装備品の見直しも必要です。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)はマンションやホテルなどで使用され建築されています。
火災が広がる過程で出火箇所から壁、天井と炎は拡大していき熱がコンクリートに伝わります。
コンクリートは「温めにくく、冷めにくい」という性質があるため徐々に熱が吸収、蓄積されコンクリートが熱源となり輻射熱が放出されます。
鉄筋コンクリート造は密閉性も高いため、可燃性ガスや熱が区画内に蓄積されやすい特徴があります。
上層部に滞留した可燃性ガスが燃焼温度に達すると、FO(フラッシュオーバー)がいつ発生してもおかしくありません。
前兆としてロールオーバーが起こりやすく、この前兆現象が発生したらFO(フラッシュオーバー)が発生する可能性が高いです。
断熱材
建物には断熱材が使用されており、消火活動が困難になる可能性があります。
海外では、断熱材による火災拡大が問題となっています。
断熱材の種類は、大別すると以下のとおりです。
無機繊維系
無機繊維系は無機質なので燃えず、ガスが発生しないとされています。
木質繊維系
木質繊維系は難燃材料になっていないものもあるが、通常は熱により炭化します。
延焼拡大の危険性は低く、有毒ガスが発生しないものがほとんどです。
発泡プラスチック系
発泡プラスチック系は即燃的に燃焼する可能性が高く、有毒ガスを発生させます。
区画内の放水
区画内で放水するにあたり、水損防止にも努めなければなりません。
そのため、明確な目的を持って放水する必要があります。
基本的には表面冷却か空間冷却があり、表面冷却は燃焼物や壁や天井を冷却する場合に放水し、空間冷却は火災室内のガスなどを冷却する場合に放水します。
このような放水をするために、様々な放水テクニックがあります。
ペンシリング、ペインティング、パルスと冷却方法や目的により使い分ける必要があります。
今回は詳しくは解説しませんが、このような放水の使い分けにより有効な放水を行い、少ない水量で消火することを心がけます。
大量な放水が必要な場合もありますが、区画内での火災の場合そのようなケースは少ないと思われます。
少ない水量で有効な消火活動を行うことで、水損防止にも繋がります。
まとめ
今回は、近年の住宅火災における消火活動に及ぼす影響について解説しました。
住宅火災の戦術として、今が転換期だと私は考えています。
屋内進入で必要な知識やテクニックを磨き、火点を直接攻撃する放水テクニックを身に付けましょう。
まとめです。
目的を持った放水を行う。
屋内進入に必要な知識、技術を身に付ける。
時代は常に変化していきます。それに合わせて消防活動も変化していかなければなりません。
現状維持は後退していくだけです。
以上です。
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